- 〜オーバーコーチングとノーコーチング〜
- 世界と日本との差はスーパーテクニックでもなく、最新の戦術でもありません。「基本」というすでに分かっていることをしっかりとできるようにすること、その「基本」の差こそ世界との差なのです。知らないことを教えるのは簡単です。しかし基本を教えることは、もっとも難しく、もっとも時間のかかることであり地道な努力が必要です。しかし、それがもっとも大切だということを肝に銘じておくことです。
- では、その基本の中でももっとも重要なのは何でしょう。それは技術そのものではなく、「良い習慣」なのです。試合中、良い判断できるのは誰でしょう。それはコーチです。それは外から見ているから良い判断ができるのです。広い視野と良い判断、選手も同様です。視野の確保、そのための体の向き、といったことが「習慣」となっていなければ「良い判断」をしようにもその材料さえありません。
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- ◆オーバーコーチングとノーコーチング
- オーバーコーチングは選手から自由な独創性、自主性を奪い、本人にとってサッカーを楽しくないものにしてしまいます。ノーコーチングは、場合によってもっと選手のモチベーションを下げることがあります(無視されるのはもっとつらい)。コーチの役割は、「解決法を教える」のでもなく、「何も手を差し伸べないで」のでもなく、「選手が自分で判断する能力、解決法を見出す能力を育て上げること」、そう「クリエイティブな選手」を育てることなのです。そしてそのような「習慣づけ」は若年層からの指導育成が必要で、若年層を担当するコーチの仕事こそもっとも難しく重要といえるでしょう。
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- ◆では、どうしたらよいのでしょう。まずコーチ自ら変わりましょう
- 同じことを何度も繰り返し言うことには軽蔑感が存在し、新しいこと、難しいことを言えるのがいいコーチといった認識が少なからずあるでしょう。まずこの認識を間違いだと正しましょう。
- 自主性ある選手、クリエイティブな選手はどんな練習メニューからも最高のパフォーマンスを発揮し常に向上する努力をするものだという認識を持ちましょう。そして選手もそれは当然認識できるはずです。それを話しましょう。
- 「基本」とは、思考という面では「見る」「考える」「予測する」「間違はすぐに正す」「努力する」「継続する」・・など、身体面では「走る」「跳ぶ」「起き上がる」「回転する」「競う」「ボールをキープする」・・基本といってもそれはたくさんあるでしょう。コーチが考えなければならないのは一つの「基本」を習得させるためにどれだけたくさんの「練習メニュー」と「気付かせるきっかけ」といった道具を持つことです。
- 他にもコーチ毎にいろいろあるでしょう。しかしもっとも大事なのは、子供が好きで、サッカーが好きで、いかにリエイティブな選手に育てよう、そして良い大人に育てようという熱心な心を持ったコーチが子供にとって大切なコーチなのでしょう。
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年代に合った指導
- 習得形態は、@粗形態の形成→A修正・精錬→B定着→C変化条件への適応
- (スピードとプレッシャーの中での対応)、という順序をとる。
- スポーツである以上勝敗というのは非常に重要なことであり、また子供たち自身の勝つことの喜び、勝ちたい気持がサッカーに対するモチベーションを支えていることも確かです。しかし指導者は「それがすべてではない」ということを常に念頭に置かねばなりません。勝敗を競うことは「最終目的」ではなく、育成のための非常に重要な「手段」なのです。
- 各々の成長過程における「基本」とは何か、そのチームの指導者、中学生以下では場合によって両親もよく確認し合い、認識することが選手のためになり大事なことです。
出所・参考
小野 剛著「クリエイティブ サッカー・コーチング」(大修館書店)
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