自立の第一歩

子どもなりに、自分で必要だと思うことを 自分でやることが大事。
サッカーの試合に行くと、よく見かけ
る光景があります。
試合場でのチームの場所取り、飲み物
も着替えも、何から何まで親が準備。子
どもはただ単に用意されたものを飲み、
言われるままに着替えるだけです。いつ
も必ずそろっているから、「ありがとう」
とさえ言わない選手もいます。
お手伝いいただくのはたいへんあり
がたいことです。でも多くは子どもた
ち自身で十分にできること。あるいは、
子どもたち自身が、したほうがいい、
する必要があるとわかることです。むし
ろ、子どもなりに、必要なことは自分で
必要だと思って、自分でやるというこ
とこそ大事。
足りなかったり不便だったりしたら、
自分で考えて、工夫したり相談したりで
何とかする。そして次にはそうならない
ようにすることが大切です。
私たちは、サッカーでは自立が大切で
あると考え、自立した選手を育成しよう
としています。自立しているというのは、
自分自身で判断して、責任をもって行動
する、ということです。
誰かにやれと言われたから、ではなく、
自分自身がやりたい、やったほうがいい
と思うからやる。
失敗も自分の判断によるもの。誰かの
せいにはできません。
また、何から何まで大人がそろえてく
れる環境に子どもたちが「あって当然」
と思うことは間違いです。
用意してもらえない環境では何もでき
ない、適応できない子どもになってしま
うでしょう。
何から何まで常に用意されている環境
を与えることがマイナスとなることもあ
るのです。
サッカーの合宿に集合したときに、ス
パイクシューズを忘れてきてしまった子
がいました。その子に聞くと、いつも自
分ではなく母親が用意をしているので自
分のせいではない、とのこと。親が電話
をしてきて、届けに来ると言います。
「運動靴でやらせるから結構です。」とお
断りしました。3日間の合宿で、その子
はすべりやすくてやりにくそうにはして
いましたが、運動靴で最後まで練習をし
ました。その後、その子は決して忘れ物
をしないようになりました。お母さんに
よると、それ以来、必ず自分自身で用意
をするようになったとのことでした。